京都市南区に本社を持つ佐川急便は、地方自治体と連携しながら、ドローンを活用した物流システムを構築するために積極的な実証実験を繰り返されています。
佐川急便は省エネに対する取り組みで注目されており、過去記事「佐川急便の省エネ・環境保護・クリーンアップへの取り組みについて」においてもご紹介しております。
みなさんもご存じの通り、2020年はじめから社会を混乱させている新型コロナウイルス感染症の影響によって、物流業界は大きなダメージを受けています。
海外からの荷物が停滞していることに加えて、店舗や施設などの営業自粛などによって、幅広い分野で配送量が大幅に減少しているのです。
また同時に、人材不足によって、2028年には28万人ものドライバーが不足するとも言われているのです。
そのような状況を受け佐川急便では、2022年度中に配達ドローンを導入する目標を持っており、そのために必要な実験が行われているのです。
この物流システムは、コロナ禍での物流を高める効果があるだけではなく、トラックなどに依存することなく配送できることから省エネ効果についても大きな注目を浴びているのです
ここでは、佐川急便がどのようなドローンへの取り組みがなされているかについてお伝えし、現在の配送業界の状況についてもお伝えしていきたいと思います。
佐川急便のドローン配送への取り組みについて
佐川急便がドローン配送の実証実験に取り組むと発表されたのは2020年11月のこと。
その発表の中で、ドローンを利用する規制が2022年中に緩和される見通しであることから、同年に利用開始させることを目標としているのです。
ちなみにドローン配送が導入される予定の地域として、島根をはじめとした3県が考えられています。
ドローン配送の実証実験の内容~地方自治体とも連携
佐川急便はドローン配送の実証実験として、島根県邑智郡美郷町、香川県小豆郡土庄町などとの各地方自治体と共同で、実証実験を行うと発表されました。
どのような実験かと言うと、実際に佐川急便の各営業所に届いた荷物を配送拠点までトラックで配送し、その拠点からドローンによって終着点まで配送するというもの。
配送拠点から終着点までには中継点として3か所用意されており、その拠点を経由しながら終着点までの配送を目指します。
この操縦については、東京本社が拠点となっており、遠隔から目視外での操縦で飛行するという点について注目されることになりました。
島根県邑智郡美郷町からスタートするドローンは、山々が連なる場所を超え、香川県小豆郡土庄町においては離島間での配送となるため海上輸送となります。
飛行時間は約40分程度を予定しており、飛行距離は最長で約24㎞、3辺合計が60センチ以下の段ボールでの配送となります。
佐川急便のドローン配送の実証実験
佐川急便では2021年1月に香川県小豆郡土庄町、島根県邑智郡美郷町において、ドローンを利用した離島・山間部での配送実験が行われました。
これらの地域は過疎地域であり、実際の利用を想定した内容となっています。
東京本社には遠隔操作による飛行開始のボタンが設置されていますが、実際には目視での操作ではなく自動操縦オペレーションが行われています。
香川県小豆郡土庄町での実験では、離島間配送となる5つのルートが設定され、おのおの4.5㎞~11.1㎞の距離となっています。
島根県邑智郡美郷町では、山間部の配送が5つのルートが想定され、4.2㎞から6.6㎞の距離による実験が行われました。
今後も実証実験は繰り返されることになり、2022年中にスタートすることになっています。
なぜ佐川急便にドローン配送が必要なのか
佐川急便は私たちもお馴染みの白と青のストライプのユニフォームで、配送されている姿をみない日はありません。
しかし、どの地域でも同じように配送できるかと言えばそうではなく、都心部に比べると地方では人材不足や住居地が広範囲に広がっているなどの理由によって、効率よく配送することは難しいのです。
そのような中で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、Amazonや楽天などのECサイトを利用する家庭が増え、さらに効率よく配送する手段が必要となっているのです。
配送業界は、人手不足が大変深刻な問題となっています。
佐川急便だけではなく、多くの配送業者では人材不足によって、2028年には28万人ものドライバーが不足する見通しとなっています。
アメリカや中国では、ドローン配送はすでに実用化が始まっています。
効率のよい配送によって、人材不足だけではなくエネルギー問題を解決する手段にもなると注目されているのです。
参考
【佐川急便】地方自治体とドローンを活用した複数拠点間輸送の実証実験を行います