大阪市北区中之島に本社を持つ「関西電力株式会社」は、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)と共同で次世代型エネルギープラットフォーム「エナッジ2.0」を開発しました。
これは、AIによって省エネに繋がる予想を行い、従業員などの省エネ行動の意識づけを促すことができるようにするなどといったものです。
今までは企業や店舗の本部に設置した端末による管理が必要でしたが、クラウドで管理ができるようになり効率よく運用できるようになったのです。
2018年11月には、家具・インテリア用品の大手企業である「ニトリ」において先行サービスが開始され、注目を集めました。
その結果を踏まえて2019年1月から全国の量販店やコンビニ、ドラッグストアなどにおいてサービスが導入されるようになりました。
すでに4000箇所以上の企業や店舗において導入されており、今後は関西エリアだけではなく全国に拡大することが期待されています。
どのようなものなのか、詳しくお伝えしていきましょう。
AIによる省エネ「エナッジ2.0」とは~関西電力が取り組む新しい省エネの方法
関西電力はいまAIの技術を導入して、省エネに取り組んでいます。
次世代型エネルギープラットフォーム「エナッジ2.0」と呼ばれるものですが、AIによって今後の電力の予想を立てることによって、無駄なエネルギー消費を抑えようというものです。
AIがはじき出したエネルギー消費予測に基づいて、省エネアドバイスを行っていきます。
世界的にみると、気候変動の問題によって、温室効果ガス排出量削減を実現させようとしており、2015年12月にはフランスのパリでその枠組みが採択されました。
いわゆる「パリ協定」と呼ばれるものですが、この採択を受けてわが国においても、徹底した省エネの推進が必要であると考えられるようになりました。
ただ、一般の我々からすると、無駄な電力コストを削減させたいとは思うものの、日常的な業務の忙しさによって思うように取り組めていないことも多いのではないでしょうか。
例えば、中小企業や個人で経営する店舗などでは、こまめに消灯したり、エアコンの温度設定したりするくらいで、それほど大きな取り組みは難しいようにも感じます。
ましてや、省エネの専門家を雇用するようなことは不可能です。
しかし、個人経営においても店舗が増えてくるような場合においては、やはり省エネの取り組みは重要なことであることは間違いありません。
そのような状況で、省エネの取り組みや道筋を立てることができるのが「エナッジ2.0」です。
より具体的なアドバイスができるとして、注目されているのです。
「エナッジ2.0」今まではできなかった省エネアドバイスが可能に
関西電力は電力会社ですから、今までも送電する中で最適な運用方法について提案してきました。
しかし、今までの省エネアドバイスでは大きな問題点がありました。
現状の電力消費を分析し、この分析をもとに省エネに取り組むにはどうすればいいのかということが、今までのアドバイスの内容でした。
これでも十分に省エネ効果を発揮することはできていたのですが、中には大きな効果に至らないというケースもありました。
それは、今後の電力消費に対する行動が分析できていなかったからです。
どれだけ過去の傾向を分析しても、今後の行動に結び付かなければ意味がありません。
そのため、顧客の行動までを支援することができないかということが関西電力での課題であったわけです。
その課題を克服するために開発されたのが「エナッジ2.0」です。
「エナッジ2.0」はAIが搭載されており、企業や店舗、施設などの消費電力の傾向や周辺地域での気象情報などを事前に学習しておき、その結果から24時間先の消費電力を予測することができます。
事前にこのような予測が立てられ、企業や店舗などの従業員に対して意識づけすることによって、省エネ行動を自発的に行えるようになるといったメリットがあります。
さらに進化した「エナッジ2.0」クラウド管理も可能!
「エナッジ2.0」に優れている点は、24時間先の消費電力の予測による提案だけではありません。
消費電力の実績や今後の予測については、今までであれば企業や店舗などに設置した専用端末によって集約していましたが、これをクラウド上においてもできるようになりました。
つまり企業や店舗は大がかりな端末や設備を導入することなく状況を掴むことができるのです。
そのため、従業員は意識して省エネ行動を行えるようになり、無駄な消費電力を抑えることができるようになりました。
現在、この「エナッジ2.0」は全国の4000か所以上の企業や店舗などに導入されており、さらに拡大している状況です。
もちろん関西エリアだけではなく、全国に広がりを見せていることが知られています。